昭和60年4月に、広島市安佐北区高陽町倉掛で、3名の生徒とスタートした田中学習会は、今春おかげさまをもちまして25周年を迎えました。塾生、卒塾生の皆さん、そして保護者・地域の皆様、スタッフや関係業者の皆様に厚く御礼申し上げます。
田中学習会は、現在、広島市・廿日市市・安芸郡・東広島市・呉市・福山市の41教場で、約7,000名の生徒をお預かり致しております。皆様に広げていただいた「田中の輪」の中で、生徒たちが、学習を通して健全に切磋琢磨し、成長していることに安堵と喜びを強く感じながら、共に歩ませていただいております。約1,300名の中3生が集まるテスト会では、生徒たちがけじめのある速やかな整列や明るいあいさつをしてくれて、表彰式では自教室の仲間にはもちろん、他教室の生徒にもとても温かい拍手を送ってくれます。私は、田中学習会の生徒たちを誇りに思い、その風土が田中の宝物だと思っています。
また近年とてもうれしいことは、街の至る所で塾生や卒塾生が声をかけてくれること、社会人として活躍する教え子に会うこと、ホームページから近況報告をもらうこと、卒塾生が弊社の社員となり、私以上の熱血講師として、この仕事にやりがいや感動を覚え成長してくれていること、そして教え子のお子さんたちが、当時の彼ら彼女らとよく似た顔で、田中の門をたたいてくれることです。塾人として、この上ない幸せを感じています。
そして25回目の今年度も、子どもたちに二つのことを願っています。
一つ目は、学び取る力「学習力」を身に付けてほしいということです。昨今のように、価値観が多様化し、経済・文化・制度・環境など社会全体が大きく変化する中では、新しい事象にたおやかに対応する力が要求されます。特に現代の情報社会では、次々と洪水のように押し寄せてくる情報を取捨選択・処理し、必要な知識を身に付けていくことが重要となります。
これまでの学歴社会では、どこの学校を卒業したかに重きを置いていましたが、これからは、新しい知識・情報を学び取り、身に付けるための力「学習力」が、どれだけ培われているかが問われます。例えば、受験で歴史の知識を身に付けても、社会に出てから使うことはほとんどありません。しかし知識を身に付けるための「学習力」は、社会でどの業界に進んでも、必要な知識を吸収し成長していく上での柱となります。「やるぞ」と自らが動機付けを行うことも、直面する問題を工夫し解決していくことも、辛抱し継続していくことも、素直な気持ちで前向きに良心に従って進んでいくことも、その「学習力」の大切な要素です。子どもたちには、塾での学習や受験を通して、将来必ず必要とされる「学習力」を向上させていってほしいと願います。
二つ目は、学習を通して心の成長、魂の成長を遂げてほしいということです。学校での評価が「相対評価」から「絶対評価」に変わり、久しくなります。「相対評価」は、全体でのポジションが分かるため、周りとの比較に傾倒しやすく、誰かが良い評価を取れば誰かの評価が悪くなるといったマイナスのイメージを伴いますが、合格定員が決まっている受験では、とても重要で公平な評価方法です。
一方「絶対評価」は、周りとの比較ではなく、自分の到達度に対する評価です。子どもたちには、周りとの比較ではなく、一人ひとりの中に心底からの大きな夢を持ち、その絶対的な目標に向かって歩んでほしいと思います。目標は一人ひとりで異なり、進むスピードや難易度も違いますが、到達するまでに小さな目標をいくつも設定し、途中の「相対評価」は、目標の目安や発奮材料にしていけばいいと思います。大切なことは、結果だけにとらわれるのではなく、歩む過程で辛抱し努力し、心・魂を成長させることです。偏差値や順位などの「相対評価」は目標の目安でしかなく、ライバルがいるとすればただ一人、「過去の自分」だけです。子どもたちには、一日一日を精いっぱい生きる中で、心も魂も、一歩一歩成長させていってほしいと願います。
一般的に大人は、通っている学校の名前や難易度で、子どもを測りがちです。そして広島は、その傾向が幾分強いようにも感じます。確かに志望校は、子どもたちの目標として大切な存在であり、偏差値も自分の学力を測る上では重要な物差しであり、それがあるからこそ、子どもたちもがんばり、伸びていくのだと思います。しかし、たくさんの子どもたちに触れてきて痛感したのが、大切なことは、どこに合格したかではなく、その結果へたどり着くまでに、どれだけ成長できたかということです。それは「分からないことが分かるようになる」から始まり、「物事をあきらめがちだったのが、辛抱し継続できるようになる」「自分のことで精いっぱいだったのが、感謝の気持ちを持って他者を思いやれるようになる」といったことです。
田中学習会の生徒は、勉強が得意不得意にかかわらず、お互いを尊重し励まし合いながら、健全に成長してくれています。その生徒たちが何十年か後、今度は大人として、子どもたちを学校名だけで見るのではなく、一人ひとりの歩みを温かく見守ってくれるようになれば、広島ももっともっと子どもたちに優しく温かい街になるのではないかという、ほのかな夢を持っています。そして、人の幸せを自分の喜びとできるような大人になって欲しいと思っています。今後も田中学習会は、子どもたちを得点や結果だけで評価することなく、そこにたどり着くまでの一人ひとりの確かな成長を見守り、それを喜びにしていきたいと思います。